今月編集部が取材したモデルハウスは、2020年11月、さいたま新都心にある住宅展示場に完成したヘーベルハウスのFREX4階建てモデル。最新の技術やノウハウを駆使して完成した建物は迫力満点。オリコン顧客満足度調査の「ハウスメーカー 注文住宅 鉄骨造部門」で6年連続第1位を獲得したヘーベルハウスが誇る、"重鉄の家"にふさわしい佇まいだ。1Fには、親世帯の住居を想定し、吹き抜けを持つ明るく開放感たっぷりのリビングやモダンな和室がレイアウトされ、2Fは賃貸スペースを設けた間取りを実現している。3Fと4Fは、子世帯を想定した居住空間。3Fには9.4帖の書斎と「そらのま」がひとつながりに並び、リモートワーク時代の暮らし方を体現できる。そしてこの写真にある4Fは、開放的なLDKとは別に「リサイタルステージ」と称する6.4帖のホビースペースも広がる。弊誌をご愛読いただいている読者諸兄姉も喜びそうな空間だ。今回は、3Fの書斎と4Fを中心にヘイルメリー流アレンジを施した。こんな時代だからこそ、"家時間"を充実できる"重鉄の家"に暮らしたい。
大宮展示場のFREXモデルを象徴する4FのLDKをスカイデッキサイドから写した。ヘーベルハウス独自の創空間アイテム「ハイルーフユニット」を採用して天井高を通常の2400mmから3040mmへ伸ばし、縦空間にも広がりを持たせている。LDKはスカイデッキとつながっているので、さらに広々とした印象だ。そこで我々は、この居住空間にターンテーブルなどのDJ機材とヴィンテージのアルミ天板をカスタムしたテーブルを持ち込み、スカイデッキで寛ぐ家族や友人に屋外ライブ感覚でアナログサウンドを聴いてもらえるよう、アレンジを施した。この「DJブース」は簡単に移動できるので、スカイデッキのソファ周りにセットアップしても楽しいだろう。
4Fのアイランドキッチンも広々として使いやすい。木の温もりが感じられ、大人の雰囲気を演出している点もお見事。キッチンの奥にはルーフバルコニーに続く階段がある。階段の上部は天井を高く取った吹き抜けになっていて、灯り取り用の窓からほどよく自然光が射し込み、間接照明のようにキッチンサイドを照らしてくれる。こうした縦空間の広がりを余すことなく採光スペースとして設計できるのも、強靭な躯体を持つFREXならではだ。
4Fの階段脇に設けられた6.4帖の空間。壁で仕切ったりクローズしたりするのではなく、オープンスペースのままピアノ演奏やチェロ演奏を楽しめる「リサイタルステージ」としてレイアウトされている。この空間に、ブルース・ウェーバーが監督したチェット・ベイカーのドキュメンタリー映画のポスターとお気に入りのマーチンD-28を持ち込み、「本格的に楽器演奏にのめりこんだダッズの趣味空間」として演出してみた。窓を開け放ち、スカイデッキのソファで寛ぐ家族や友人にピアノやギターの演奏を披露する。配信ライブではなかなか得られない臨場感を家庭で体験してもらうのだから、しっかり腕を磨かねばならない...。この空間にはそんな向上心を育める雰囲気も漂っている。さらにうれしいのは、たとえ4Fであっても重量のあるグランドピアノを難なく設置できること。堅牢な構造のFREXゆえ、自由に空間活用できるメリットも広がるのだ。
自宅でのリモートワークのニーズがますます高まっている。会社とはちがい、自宅のワークルームは、主人のわがままを100パーセント受け入れてくれる。アンティークのオブジェに囲まれても、お気に入りのLPジャケットを棚にレイアウトしても誰からも干渉されない。大宮展示場のFREXの3Fには、9.4帖の理想的な書斎がレイアウトされていた。この広さがあればアレンジも思いのままだ。デスクにつくとアウトドアリビングの「そらのま」が正面に広がっている。開放感がありながらも、ヘーベルウォールによってプライバシーが確保されているので、バッチリ仕事に集中できる。「そらのま」に出ると、先ほどまで降っていた雨が上がり、天空から光が降り注いできた。撮影の合間に、ここでしばらく洋酒ブックを読み耽った。書斎内には洋酒棚が敷設されていて、仕事終わりのねぎらいに旨いシングルモルトを1杯やりたくなる。グッドジョブはグッドプレイスから生まれると実感する。
リモートワーク時間を楽しくしてくれるインテリアやオブジェのセレクトも楽しい。タイプライターは"真っ赤なバケツ"ともいわれるオリベッティの名品「バレンタイン」、ラジオに似た形の家電はPHILCOのマイナスイオン発生器。(Sonechika)アンティークの置き時計や筆記用具、シルバーボトルのSUNTORY OLD、カメラなどの小物は参考アイテム。
書斎のサイドに設えてあった洋酒棚に、スキットルやオープナーなどアンティークの小物、開高健のジョーク集やリッツホテルのカクテルブックなどを並べてヘイルメリー流アレンジを加えた。
リプルーグル製の大型地球儀は参考アイテム、「EVERYDAY I LOVE YOU」のアローがユニークなハンドメイドの万年カレンダー。(Sonechika)
1Fにある14.6帖の和室は、「星のや京都」のイメージを投影したインテリアデザイン。洗練された和モダン空間は、世代を問わず心を落ち着かせ、気持ちを解きほぐしてくれる。琉球畳を敷いた小上がりには、ごろりと寝転びたくなる。床の間の存在を感じさせる巧みな照明使いや、篭り感のあるベンチシート。窓外の坪庭もアイキャッチだ。高級旅館を訪れたような非日常感が、日常的に味わえるとはなんと贅沢なことか。
取材協力:SonechikaACTUSメトロクス
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